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多重迷宮の殺人 [長沢樹]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

聖域を穢す者は、必ず殺される。
首都圏を震撼させる連続切り裂き魔事件!
地下施設に閉じ込められた9人。
絶対絶命の状況下で、連続殺人が始まった――

首都圏で発生した、地下建築での連続切り裂き魔事件。犯人も被害者の共通点も不明のまま、
捜査は難航していた。そんな最中、探偵・七ツ森とその助手・風野は、
地下探索サークルを主催する大学生・藤間とともに政治家が遺した別荘を訪れる。
その近辺の地下シェルターを調査中に壁が崩壊、一行は内部に閉じ込められてしまった。
さらに地下でも連続殺人が起き……大学生たちは犯人の手を逃れ、閉鎖空間から脱出できるのか。(『武蔵野アンダーワールド・セブン 多重迷宮』改題・改稿版)


初めて読むと思いきや、『消失グラデーション』の作家さんとは。

ところで、解説にもあるとおり元々の作品とは改題・改稿しているというもので、
東京創元社のページを見ると、登場人物や物語も結構異なっているようですね。

地下遺構という舞台設定は非常に魅力的だと思います。
普通はそこに閉じ込められたらパニックになりそうですが、登場人物たちの
経験からか、パニックは起こらず。

さて、少し先に進んでしまったのですが、本書は最初何か続編なのかと思うような、
いわばかなり色々な設定があるんですよね。
これが中々・・・理解するのが難しいというよりも、読んでいると気恥ずかしくなる(苦笑)
名探偵の登場や助手とか。神子都の過去とか、捜査コンサルタントという職業、
時代設定が1970年代~80年代で、学生運動が大きく影響していて、
地下に潜った彼彼女たちを執拗に探す公安部と刑事部の対立等々・・・
とにかく設定も多すぎる。

地下遺構での殺人事件は、なぜ閉じ込められた状態で行うのか?という動機も、
さらにどうおこなったのかという方法も、かなり物語にのめり込む面白さなのですが、
ラストがかなり消化不足なのと、様々設定したものがほとんど活かせていないのが残念ですね。

様々な地下遺構をめぐる、という感じのシリーズ化も目指せそうなのだけどなあ。
(ラストでそれはもう無いことはわかるのですが)


多重迷宮の殺人 (創元推理文庫)

多重迷宮の殺人 (創元推理文庫)

  • 作者: 長沢 樹
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2023/10/31
  • メディア: Kindle版






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