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ぼくの「このミス」2022 [ミステリ]

今年も最後なので、今年読んだミステリの中で、特にオススメを紹介します。
しかし、今年はあまり読んでないような気がするなあ。

三津田信三『白魔の塔』
読んでいて、思わず唸ってしまった作品。
怪異と現実とが入り交じりつつ進む物語、突如としてとてつもない事態が
起こる、まさに驚愕怒濤の展開。物理波矢多の名推理も楽しめますが、
この構成は圧巻。

白魔の塔 物理波矢多シリーズ (文春文庫)

白魔の塔 物理波矢多シリーズ (文春文庫)

  • 作者: 三津田 信三
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2021/10/06
  • メディア: Kindle版






有栖川有栖『こうして誰もいなくなった』
表題作は、群を抜いて面白い。クリスティの向こうを張った名作。
「密室」の使い方が素晴らしい。

こうして誰もいなくなった (角川文庫)

こうして誰もいなくなった (角川文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2021/11/20
  • メディア: 文庫






大山誠一郎『記憶の中の誘拐 赤い博物館』
名短編集。緋色冴子は火村英生の女性版かと思うくらい、理詰めの推理。
「夕暮れの屋上で」「連火」、いずれも傑作です。
文庫書き下ろしというのがまた素晴らしい。出版社さん、営業的な面あろうかと
思いますが、文庫書き下ろし、どんどんお願いします。


記憶の中の誘拐 赤い博物館 (文春文庫)

記憶の中の誘拐 赤い博物館 (文春文庫)

  • 作者: 大山 誠一郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2022/01/04
  • メディア: Kindle版






若竹七海『殺人鬼がもう一人』
逆コージーミステリー。シリーズ続編がぜひ読みたいところ。
ハッピーデー・キラーの事件の顛末は一体どうなったのか?


殺人鬼がもう一人 (光文社文庫)

殺人鬼がもう一人 (光文社文庫)

  • 作者: 若竹 七海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2022/04/12
  • メディア: Kindle版






都筑道夫『猫の舌に釘をうて』『誘拐作戦』
とにかく読めて良かった。購入して損はない作品。
改めて感想は書きません。都筑道夫の読者騙しのテクニックをご堪能あれ。


猫の舌に釘をうて (徳間文庫 トクマの特選!)

猫の舌に釘をうて (徳間文庫 トクマの特選!)

  • 作者: 都筑道夫
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2022/02/08
  • メディア: Kindle版



誘拐作戦 (徳間文庫)

誘拐作戦 (徳間文庫)

  • 作者: 都筑道夫
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2022/08/09
  • メディア: 文庫









阿津川辰海『透明人間は密室に潜む』
収録短編いずれも傑作揃い。『録音された誘拐』も楽しみです。

透明人間は密室に潜む (光文社文庫)

透明人間は密室に潜む (光文社文庫)

  • 作者: 阿津川 辰海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2022/09/13
  • メディア: Kindle版






大半がオススメになりそうなので、この辺で(笑
来年も良いミステリが読めますよう。
そして今年も読んで頂いた方、ありがとうございました。

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法月綸太郎の消息 [法月綸太郎]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

名探偵法月綸太郎が
名探偵ホームズ&ポアロの謎に挑む!

綸太郎が挑むのは、ホームズ探偵譚の異色作に隠された作者コナン・ドイルをめぐるトラップ。
ポアロ最後の事件に仕組まれた作者アガサ・クリスティーの企み。そして、
父・法月警視が持ち込む不可解な謎。ロジックを駆使して名探偵が鮮やかに「真実」に迫る、
本格ミステリの純粋かつ新たな魅力に満ちた作品集。

シリーズ30周年記念の最新作、待望の文庫化!
鮮やかで大胆不敵なロジック。珠玉の本格ミステリ作品集!


彼ほど「消息」という言葉がある探偵もいないでしょう。
むろん、紙上の法月綸太郎と、作者である法月綸太郎先生も含めて。

後期クイーン的問題、P≠NP問題等の評論家としても素晴らしい業績を
挙げている一方、その評論的部分と、自身の描く「法月綸太郎」という探偵との
乖離・苦悩が、本当にこの30年に現れています。
『生首に聞いてみろ』刊行時に、「おかえり、法月綸太郎」という帯があったのを
覚えています。
作品を生み出す苦闘が伺える、実に希有なシリーズですね。

本書は30周年祈念の刊行ですが、やはりホームズとポアロという、2大名探偵の
謎に迫る「白面のたてがみ」と「カーテンコール」は圧巻。

特に後者は、ポアロが本当に双子だったのではないか?というのを、
実に上手く、論理的に証明しようとしていて、『カーテン』で亡くなったのは、
アシルだったのかあと思わず思ってしまいました(笑

前者は、コナン・ドイルの心霊への傾倒や、チェスタトンまで登場し、
さながら、氏の評論ミステリのようなものを読んでいるような錯覚に陥ります。

そして、父親である法月警視とのディスカッションから、事件の真相にたどり着く、
「あべこべの遺書」「殺さぬ先の自首」も快作です。
シリーズお馴染みだから失念してましたが、安楽椅子探偵スタイルですね。
解説によれば、いずれの作品も都筑道夫先生の『退職刑事』からの影響大とのこと。
後者は、倫太郎の母親のことが登場するのが感慨深いですね。

しかし、シリーズ初期のレギュラーであった、図書館司書の沢田穂波も
久々に登場してほしいなあ。


法月綸太郎の消息 (講談社文庫)

法月綸太郎の消息 (講談社文庫)

  • 作者: 法月綸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/10/14
  • メディア: Kindle版






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誘拐作戦 [都筑道夫]

その女は、小雨に洗われた京葉道路に横たわっていた──
ひき逃げ現場に出くわしたチンピラ四人と医者ひとり。世を拗ねた五人の悪党たちは、
死んだ女そっくりの身代わりを用意し偽誘拐を演出。一方、身代金を惜しむ金満家族に、
駆け出しの知性派探偵が加勢。アドリブ任せに見えた事件は、次第に黒い罠を露呈させ始める。
鬼才都筑道夫がミステリの枠の極限に挑んだ超トリッキーな逸品。
史上初の〈文庫連載小説〉、都筑道夫の幻の雑誌連載長篇「ジェイムズ・ボンドはアメリカ人」併録。

以下、ネタバレあり。





これは傑作です。
よくぞ復刊してくれました。

都筑道夫先生は、推理作家として再デビューし、次々とトリッキーな作品を生み出すのに
全力投球していたのが伺い知れます。
いかに読者を驚かせてやろうか?という思いをひしひしと感じます。
『やぶにらみの時計』→『猫の舌に釘を打て』→『誘拐作戦』と、まさに怒濤のような傑作群。

最初、本書は嘘っぱちではない、本当にあった事件だとしつつ、あんまり、ありのままに
書くと、迷惑する人がいる、だから適当に嘘を交えて、という、もう開始2ページ目で騙し
が来ます(笑)
この記述、ある意味本書の核心を突いてますよね。
適当に嘘を交えるんだ、と。

さらに「第一歩は盗難車で」を読み終わると、なんと書き手は2人いるという、
さらなる騙し。
素人探偵の名前が赤西一朗太から茜一郎とくるくる変わる(笑
仮にも事件を解く役を与えられている探偵の名前が、コロコロ変わるミステリは
出合ったことがありません。

千寿子の死体をバラバラにし、3人でそれを処理させるシーンがあるのですが、
これは本来であればかなりグロテスクなシーンなんだけど、生首をボウリングの玉入れに
入れたなんて、なんという表現だと思います。スリラーを書くと最初に言っていたのに、
かなりのギャグ要素が盛り込まれてます。

ミステリ慣れ、している方は(私もそうなのかもしれませんが)、
かつて、大虎やブタらがかつて女を死なせた事が明らかになる辺りから、
この事件がどうも何かあるなと思ったり、
上記の死体、本当にバラバラなのか?と思ったり。

しかし凝ってますね。2人語りに一人二役。
最後に真相を語る場面も、また凝ってます。本を逆にして読むところとか。
この逆にして読むところは、この小説のある種欠けている視点であるから、
余計に面白い。
玉木刑事が共犯でないことを見事に証明しているんですよね。
そして、この楽屋話から「著者からの一言」までで、本作は2人語りではなく、
ある意味作中作の体裁でもあったというオチが待っています。

ところで、次作の復刊は当然ながら『三重露出』でしょうか?


誘拐作戦 (徳間文庫)

誘拐作戦 (徳間文庫)

  • 作者: 都筑道夫
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2022/08/09
  • メディア: 文庫






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LIVE Blu-ray『B’z presents LIVE FRIENDS』 [music]

毎年この日は、クリスマスにちなんだミステリを紹介してますが、
今年は、ミステリではないですが、本命が発売されましたので、そちらのご紹介。

まずはAmazonさんの紹介ページから。

この冬を一層豊かに過ごすために。必見必聴の一作。
冬を彩る「FRIENDS」シリーズの世界観をステージ上で再現した
コンセプト・ライブの模様を全曲収録!
1992年発表のB'z初のコンセプト・アルバム「FRIENDS」、1996年発表の「FRIENDS Ⅱ」、
そして昨年、25年ぶりに完成した「FRIENDS Ⅲ」
の3作を元に構成され、東京ガーデンシアターで開催したコンセプト・ライブ「B'z presents LIVE FRIENDS」が、この冬、待望のパッケージ化!
3作にわたるFRIENDSシリーズの始まりであり、
Xmasを象徴する「いつかのメリークリスマス」はもちろん、
冬の心象風景に寄り添う「恋じゃなくなる日」や「傷心」「SNOW」、
さらにライブ初披露となった最新作からの「シーズンエンド」など
全21曲を収録した今作は、ストリングスとブラスセクションを加えた
総勢20名のバンドによる多彩な音色が響き、
従来のLIVE-GYMの趣とは異なる煌めきと温かみが溢れた、
静と動が混在するラグジュアリーな空間をも味わえる作品。
また、今作の特典ディスクには、松本孝弘と稲葉浩志へのインタビューを軸に進む
ドキュメントを収録。
リハーサル風景やバンドメンバーの紹介も織り交ぜ、FRIENDSシリーズの
世界観を再現したステージの創作過程を
垣間見ることができる貴重な映像となっている。
2022年35周年イヤーを迎えたB'zを語る上で欠かせないサウンドの側面と、
新たな試みを取り入れた近年の活動を経て
より円熟味を増したライブパフォーマンスを、
これまでにない心地よさとともにじっくりとご堪能ください。

という訳で大夫長い紹介文ですが、
1996年発売の「FRIENDS Ⅱ」は当時リアルタイムで高校生くらいで購入しました。
ミニアルバム、というジャンルでここまで有名なのも珍しいと思います。
またアルバム内の曲で、ある1つのストーリーが構成されているとはっきり明示
しているのも、中々すごいですよね。

やはり「いつかのメリークリスマス」は名曲です。
クリスマス・イヴの今日、ぜひお聞きください。


LIVE Blu-ray『B’z presents LIVE FRIENDS』 [2枚組(本編1枚+特典DISC1枚)]

LIVE Blu-ray『B’z presents LIVE FRIENDS』 [2枚組(本編1枚+特典DISC1枚)]

  • アーティスト: B'z
  • 出版社/メーカー: VERMILLION RECORDS
  • 発売日: 2022/12/14
  • メディア: Blu-ray



【メーカー特典あり】LIVE Blu-ray『B’z presents LIVE FRIENDS』 [2枚組(本編1枚+特典DISC1枚)] [Blu-ray]

【メーカー特典あり】LIVE Blu-ray『B’z presents LIVE FRIENDS』 [2枚組(本編1枚+特典DISC1枚)] [Blu-ray]

  • アーティスト: B'z
  • 出版社/メーカー: VERMILLION RECORDS(J)(D)
  • 発売日: 2022/12/14
  • メディア: Blu-ray



LIVE DVD『B’z presents LIVE FRIENDS』 [3枚組(本編2枚+特典DISC1枚)]

LIVE DVD『B’z presents LIVE FRIENDS』 [3枚組(本編2枚+特典DISC1枚)]

  • アーティスト: B'z
  • 出版社/メーカー: VERMILLION RECORDS
  • 発売日: 2022/12/14
  • メディア: DVD















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2023本格ミステリ・ベスト10 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

新星たちが新たな世界をみせた本格ミステリの一年をオールレビュー! ランキングはもちろん、
映像、コミックにラノベ、評論、ゲームまでを一望。特集は「傑作に描かれた現場図面探索」。
インタビューは柄刀一、そして夕木春央の二本立て!

毎年恒例の2冊目。
しかし、拙ブログではほとんどランキング作品には触れていないのですが(苦笑
やはり『このミス』と結構違うなあと改めて思いました。
「本格」という言葉の重い、違いなんでしょうか。

企画としては『このミス』より面白い。復刊特集、ミステリゲーム、コミック、映像本格・・・
これらを振り返られるのと、おお、こんなのあったのか!というのに出会えます。

柄刀一さんのインタビューは良いですねえ。浅見光彦を探偵役に描くということへの
凄まじいまでのプレッシャー、なんとなく分かる気がします。
でも実に上手く描けていて、もう浅見光彦シリーズ続編を書いてほしいくらいです。

『このミス』でもあったかと思いますが、北山猛邦先生の『月灯館殺人事件』の
早期文庫化を望みます!


2023本格ミステリ・ベスト10

2023本格ミステリ・ベスト10

  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2022/12/07
  • メディア: 単行本






名探偵のいけにえ―人民教会殺人事件―

名探偵のいけにえ―人民教会殺人事件―

  • 作者: 白井智之
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2022/09/15
  • メディア: Kindle版






ポピーのためにできること (集英社文庫)

ポピーのためにできること (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2022/07/07
  • メディア: Kindle版






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殺しへのライン [海外ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

『メインテーマは殺人』の刊行まであと3ヵ月。プロモーションとして、探偵ダニエル・ホーソーン
とわたし、作家のアンソニー・ホロヴィッツは、初めて開催される文芸フェスに参加するため、
チャンネル諸島のオルダニー島を訪れた。どことなく不穏な雰囲気が漂っていたところ、
文芸フェスの関係者のひとりが死体で発見される。椅子に手足をテープで固定されていたが、
なぜか右手だけは自由なままで……。傑作『メインテーマは殺人』『その裁きは死』に並ぶ、
〈ホーソーン&ホロヴィッツ〉シリーズ最新刊!


AXNミステリでは、年明けからアンソニー・ホロヴィッツ特集として、
刑事フォイル、名探偵ポワロのホロヴィッツ脚本作品、カササギ殺人事件の映像化、
マーダー・イン・マインドなどが順次放送予定とのこと。
やはり、カササギ殺人事件の映像化は観てみたい。ホーソーンシリーズは
誰がホーソーンを務めるのかで、色々ありそうですけどね。

閑話休題。
文芸フェスへの参加のため、ホーソーン&ホロヴィッツコンビはチャンネル諸島の
オルダニー島へ向かいます。
そこで島を二分する計画を進めるチャールズ・ル・メジュラーが殺害され・・・
一癖も二癖もあるフェス参加者と島住民。彼彼女の中から、ホーソーンは
犯人を見つけられるのか?

この犯人当てまでホーソーンの推理や物語の進み方、やはりクリスティーですね。
オマージュとして書いているのか、筆致を似させているのか、そこから学んで
似ているのか、そのあたりはよくわかりませんが、基本はその路線。

なぜ右手だけが自由にされていたのかは、そこまでの謎ではなく、
(もちろん犯人の絞り込みと追い詰めるホーソーンの推理は言うまでも無く素晴らしい)
2万ポンドの金や脅迫者の方が見事でしたね。

デレク・アボットとホーソーンの因縁は、本作で一応の終了をみましたが、
とはいえ、この終了、特にアボットの死は不可解で、謎解きもありません。
彼が発したある言葉も、次作以降に繋がる謎ですし・・・

ホーソーンの「謎」は次作で解明されるのでしょうか?


殺しへのライン ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫)

殺しへのライン ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2022/09/12
  • メディア: Kindle版






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このミステリーがすごい!2023年版 [ミステリ]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

34年の信頼と実績を誇る、新作ミステリーランキングブックです。

巻頭では『ジョジョの奇妙な冒険』35周年を記念し『岸辺露伴は動かない』を特集。
荒木飛呂彦さんへのインタビューや、作家の伊坂幸太郎さん・辻村深月さん・法月綸太郎さん、
脚本家・加藤敏幸さんが荒木作品を語るエッセイ、脚本家・小林靖子さんへの
メールインタビューを掲載します。

また、西村京太郎さん追悼企画を実施。
有栖川有栖さん・大山誠一郎さん・千街晶之さんに「トラベルミステリー」
「本格ミステリー」「社会派ミステリー」の三つの視点から、作品を紹介してもらいます。
西村さんの担当編集者による座談会も必読です。

各業界人も注目する2022年の国内&海外のミステリー小説ランキング・ベスト20、
超人気作家による自身の新刊情報&特別エッセイなど、例年の人気コンテンツも充実の一冊です。


今年もこの季節ですねえ。
いや、しかし今年の『このミス』は異常に目立つ表紙だ(笑
ジョジョ好きでもある私としては、この特集&インタビューは必読でした。
しかも、ジョジョ第9部は、第8部のラストに登場した「ジョセフ・ジョースター」の子孫
が登場するとの由。
実写版「岸部露伴は動かない」も楽しみですが、「ジャンケン小僧」とは・・・
第4部から抜粋になるのでしょうが、どう描くのか。


そして、やってくれましたね。「追悼 西村京太郎Forever」
有栖川さんが「トラベルミステリ」担当なのが良い!
各人が挙げられている作品で、今読むことが出来ない作品もあるので、
座談会の編集者の方々は、復刊をぜひとも。
というか、名探偵4部作などは、中途半端な復刊をしないで、全部すべきだろう。
各出版社とも、営業に多大なる影響を与えたと思うのですけどねえ。
とかなり愚痴です(苦笑

消失ミステリの『消えた乗組員』は未読ですね。今読めるのか・・・?
『ミステリー列車が消えた』も読みたいのですよ。むー・・・

隠し玉、麻耶雄嵩先生の『化石少女再び』がちょっと衝撃。
あれの続編なのか??あの終わり方で?と。

大山誠一郎先生の『仮面幻想曲』は全面改稿に時間がかかっている模様。
楽しみにしております。

辻真先先生、ついに『ピーターパンの殺人』が!復刊か?!楽しみすぎます。
しかも、名犬ルパン最終作の名も!


ランキングもそうなのですが、各作家さんが若いですよね。
自分より年齢が下の方が多いこと多いこと。いや嬉しいことなのでしょう。
しかし、いわゆる『変格』全盛の時代において、『新本格』『本格』も
さらに描いてほしいものです。


このミステリーがすごい!2023年版

このミステリーがすごい!2023年版

  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2022/12/05
  • メディア: Kindle版






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烙印 [大下宇陀児]

まずはAmazonさんの紹介ページから。

狡猾な犯罪者が企みを傾けた殺人の顚末
自らの罪を蔽うべく男は計画を練る――
探偵小説界の巨匠、文庫傑作選決定版

日本探偵小説草創期に江戸川乱歩や甲賀三郎と並び称された巨匠・大下宇陀児の短篇の精髄を
全二巻に集成した文庫傑作選。本巻では、証書偽造が発覚した青年事業家が破滅を逃れるため
練り上げた周到な殺人計画とその顛末を描いて傑作と名高い表題作をはじめ、
奇抜な毒殺方法を用いた倒叙短篇「爪」、著者最後の短篇となった「螢」まで、
戦後の作品を含む全八篇を収める。

前作がどちらかといえば、探偵小説が筆者の言うような、トリックを用いた短編で構成
されていたような気がします。
対して本書所収作は、「人間が描かれていない」という、筆者の批判を
自らが受け止めた作品集だと感じました。

「決闘街」「情鬼」「凧」「不思議な母」「螢」などは、そういう意識を非常に
感じました。
特に「情鬼」と「蛍」「凧」は傑作。
「決闘街」は、サイコホラーのようなテイストで、ラストもまた謎を残して嫌な余韻が
残りますね。

「烙印」は由比祐吉の独り相撲が少しマヌケな感じもしますが、犯人視点で語られる
ところが見事で、みえない探偵に追い詰められる犯人が上手く描かれています。
さらに、さり気ない記述が伏線になっていたりと、読み応え充分です。

「爪」もやはり犯人視点。これは物理トリックといえるのかどうか微妙なところですが、
最後に明かされる謎解きが面白い。

「危険なる姉妹」。これもサイコホラーのような一編です。姉妹が佐久間を狙わない所が
また捻りがあるのかなと思いつつ読みました。

「情鬼」は、長尾新六の生涯が語られていくのですが、いやあ、ようやく信ずるに足る
愛する人が出来たのに、この結末というのは、あまりに悲しいですね。
ただ、それだけに上で書いたように傑作なのです。

エッセイ「乱歩の脱皮」の中で、探偵小説が主食になり得ないことの、他の一つの原因
として「ある事件について語るけども、人間については何も語らないことであろう」と
述べているのは、慧眼というか、私自身が物知らずなだけなのですが、
当時からこうした論争があったのだな、というのを初めて知りました。
書かれたのが1955年。本当に探偵小説、推理小説の歴史は深いと改めて感じました。


烙印 (創元推理文庫)

烙印 (創元推理文庫)

  • 作者: 大下 宇陀児
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2022/09/12
  • メディア: Kindle版






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